2010年6月22日火曜日

小田原の森林

小田原市の森林の状況は、市の面積11,406haに対して森林4,260haと37%が森林です。
4,260haというと、東京ドーム910個分の面積になります。
参考までに国全体では国土の66%が森林となっています。
小田原市の森林をさらに細かく見ていくと、森林の68%の2,822haがスギやヒノキ等の針葉樹の人工林となっています。
さらにその人工林のうち、23%が枝打ちや間伐の保育作業が必要とされている、11年生~35年生までの森林となっています。
日本の森林は、第二次世界大戦によってその多くが失われましたが、戦後の経済発展のなかでさかんに植林が行われたことで、回復を遂げました。 
ところが高度経済成長期に入ると、外国産木材が安く入手できるようになり、日本の木は一部の高級材木を除いて、商品としての競争力を失ってしまいます。そのため森林を支える林業・山村の元気がなくなり、手入れされないまま放置される森林が増えてきました。

森林を育てる際、成長に応じていくらかの木を伐採します。これが「間伐」という作業です。
間伐は、健全で活力ある森林を育成するために欠かせない作業です。間伐が行われないと、細くて弱い木材になってしまうばかりでなく、表土の流出や河川の氾濫など、森林環境に深刻な影響を与えます。






こうしたことを防ぐためにも、私たち一人ひとりが森林と親しみ、森林を守る意識を高めることが大切なのです。

林業の特徴
 林業は、森林を維持管理し、樹木を伐採することによって木材を生産・販売する産業ですが、広義には木材の生産・販売だけでなく、きのこや山菜の採取、栽培、販売なども含まれます。
林業では森林の育成や管理のことを「施業」と呼び、経営も含めて森林を守る行為を生業としています。 農産物と違って、木は利用可能な資源として成長するまでの期間が長く、長期にわたる維持管理を必要とします。

1960年以降、木材輸入の自由化により大量輸入された外材に押され、国産材の自給率は急速に低下し、かつては多くいた素材生産業者や造林業者も減少していきました。 
木材による建造物や工芸品を見ても分かるように、木は地域の風土や伝統によってさまざまな製品に形を変えて利用されており、固有の文化を生み出す重要な要素となっています。
また、森林の果たす機能は国土の保全や木材生産などを含め、私たちの生活環境に直結しているため、適切な維持管理が必要です。 
各地域では森林所有者から委託を受けた森林組合等の林業事業体が間伐などを実施することによって、木材の生産・販売に大きく貢献し、林業の担い手として地域に根差した施業を行っています。

適切に間伐を行った森林
木と木の間に適度な間隔があるため、樹木の成長は良好。森林内には陽光が差し込み、若い木も順調に成長していて表土の流出も見られない。

間伐すると・・・
残った樹木の成長や根の発達が促進され、枝葉がしっかりとした木に育つ。陽光が差し込むため、さまざまな草木が生い茂り、表土の流出を防ぐうえ、さまざまな動植物が生息しやすくなる。



間伐の遅れた森林
木と木の間隔が狭いため、樹木の成長が良くない。森林内には陽光が差し込まず下草が生えないことから、表土が流失して根がむき出しになっている。


間伐しないと…
陽光が差し込まないため、根の発達も促進されず、下層部にさまざまな草木も茂らない。ひょろ長く、病害虫や風雪害に弱い木になってしまう。資源として有効な木材には成長しない。



 
小田原市では市民が参加できる主な事業として、「ふるさとの森づくり運動」があります。
「ふるさとの森づくり運動」は平成15年度から実施している事業です。
保育等の管理が行き届いていない荒廃した、針葉樹林を毎年約1haづつ広葉樹林に転換していくものです。
毎年3月に植林と9月に下刈を実施しています。
その他の事業として、森林の所有者に協力をいただきながら、市や県が事業主体となり、枝打ちや間伐等の保育作業を実施しています。


 酒匂川水系である久野地区の森林においては、平成19年度から県が森林の森づくり事業を始めたことに伴い、「水源の森づくり事業」として県と市が協力して、豊かでおいしい水を安定的に確保するため、スギやヒノキの人工林で間伐や枝打ちなどの手入れを進めています。

さらに、平成19年度から県が創設した、水源環境保全・再生のため、水源環境税を活用した、地域水源林整備事業を久野から南側の地区において、積極的に人工林の手入れを進めています。



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